当所では、「超エネルギー社会」という概念を提唱し、水素エネルギー、超電導技術、そしてAIoTエネルギーDX技術を統合した未来の社会インフラを実現するための研究開発に注力しています。
水素を燃料やエネルギーキャリアとして利用するエネルギーシステムは、CO2 排出量の大幅な低減が期待できることから、現在様々な技術開発が進められています。一方、水素を液体水素の形で極低温冷媒としても利用する、液体水素技術と超電導技術を統合したエネルギー機器システムを、革新的低炭素化技術として期待されています。右図に示したように、水素タービンを利用する発電システムに適用可能な液体水素冷却超電導発電システムや、再生可能エネルギーの出力変動を抑制するエネルギー貯蔵装置として、燃料電池とSMESなどの超電導エネルギー貯蔵を組み合わせた電力系統制御システムなど、液体水素冷却の超電導モーター車、船や飛行機などの画期的な交通手段や物流は、エネルギーインフラの高効率化と低炭素化を大きく前進させる技術として有望です。
そこで、機器への適用が可能となる技術レベルの液体水素冷却超電導コイルの開発を中心に、MgB2 線材やREBCO線材ベースの実用的な低コスト超電導長尺線材の開発から、液体水素による極低温冷却技術、マグネットや回転機などの機器・システム技術の開発までを有機的に連携してプロジェクトを実施し、実用化に向けた研究開発を加速しています。
液体水素超電導次世代自動車は、最先端の技術を駆使して作られた革新的な自動車であり、自動車産業に革命をもたらす可能性があります。この車は、液体水素・ガス水素、超電導モーター、超電導ケーブル、燃料電池または水素エンジン発電機などの最新技術を採用しています。液体水素は、超電導機器の冷媒として使用されながら、ガス化して燃料として車内での電力発電に使用できます。
液体水素中超電導モーターは、大電流・低損失通電が可能であるため、低速で大トルクを効率的に得ることができ、大型で複雑な変速機を不要にすることが可能となります。
現在、トヨタ自動車は液体水素自動車の研究開発を進めている。液体水素化することで約1.7倍の航続距離を得ることができ、最後までうまく使うことで約2倍の航続距離、1500km超になると言われています。
液体水素超電導次世代自動車では、超電導モーターが、高い出力を発揮しながらも、小型・軽量であるため、車両の重量を軽減することができます。これにより、車両の運動性能や航続距離を更に向上させることができます。